早期から日本のリハビリテーション医学の世界に貢献

北海道大学病院リハビリテーション科は、北海道大学医学部附属病院登別分院の流れを汲み、1995年に創立されました。

リハビリテーション医学の分野は医学の中でもまだ歴史の浅い分野ですが、その中にあって、北海道大学病院リハビリテーション科は早期から日本のリハビリテーション医学の世界において大きな役割を担ってきた教室です。

私は、眞野行生先生、生駒一憲先生に引き続き3代目の教授として2022年8月に赴任いたしました。これまでに積み重ねられた教室の取り組みを継承、発展させ、病院診療、地域医療のサポート、リハビリテーション医学の未来を担う人材育成、臨床を変える最先端のリハビリテーション医学・医療の追求に取り組みたいと考えています。

北海道大学病院リハビリテーション科 教授
向野 雅彦 (むかいの まさひこ)

“活動”の問題を扱う診療科

リハビリテーション医療の臨床は、”活動”の問題を扱う診療科として、投薬、ブロック注射、嚥下管理、排尿管理など活動全般の医学的サポートを行いながら、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の先生方と形成するリハビリテーションのチームマネジメントの役割を担い、患者さんの社会復帰をさまざまな面で支援します。

そのサポートの範囲は、従来は食事やトイレ、入浴といった、いわゆるADL(日常生活活動)を中心に語られることが多いですが、患者さんが傷病によって抱える問題はADLにとどまりません。

北海道大学病院リハビリテーション科では北海道の高次脳機能障害の支援拠点として、ADLには支障がないけれども、就労の問題など生活上の問題を抱える多くの患者さんの支援を行っています。最近では特に、こういった仕事・家事などの社会的な活動、痛みや睡眠といった心身機能を含む、”生活機能”という包括的な概念に基づいて作られた国際生活機能分類(ICF)の臨床への導入が推進され、”活動”の医療であるリハビリテーション医療のサポート範囲もさらに拡大しようとしています。

リハビリテーションの革新と飛躍的な進歩

一方で、学問としてのリハビリテーション医学には、さまざまな新しい成長の芽があります。

たとえば、近年、ロボットやバーチャルリアリティ、ブレイン・マシーン・インターフェースやゲーミフィケーションなど、最新のテクノロジーを用いた新しいリハビリテーションが数多く報告されています。

また、テクノロジーの進歩により、簡便に精緻な活動の測定が可能となり、評価手法にも革新が起きようとしています。私自身、多くの技術の研究開発に携わってきましたが、こうした評価やリハビリテーションの革新が、リハビリテーション医学の世界に飛躍的な進歩をもたらす可能性を肌で感じています。

新しい時代のリハビリテーション医学の発展の担い手として

北海道大学病院リハビリテーション科では、超高齢化社会においてますます重要性を増す患者さんの”活動”の問題を広くサポートする診療科として、時代の要請に応じて機能を強化し、病院の診療、地域医療に貢献するとともに、研究、開発にも積極的に取り組み、新しい時代のリハビリテーション医学の発展の担い手として国内外をリードする存在となることを目標に、日々取り組んでまいります。